「私も教科書を読みたい!」

−拡大教科書の安定供給を目指して−

弱視者問題研究会

    皆さんは、この日本においてまだ一人一人のニーズに合った教科書がもらえない子どもたちがいることをご存知ですか?

 全く見えないのではなく、見えにくいという状態の子どもたち(弱視児)が、全国の盲学校や弱視学級、通常の学級に数千名在籍しています。その弱視児の多くは通常の検定教科書の文字を大きく太く書き写した本(拡大教科書)を必要としています。しかし、出版されている拡大教科書は、盲学校で採択されている小学校段階の主要4教科(国語、算数、理科、社会)と中学校段階の主要5教科(国語、数学、英語、理科、社会)の1社のみで、それ以外の教科や高等学校段階では発行されていません。弱視学級や通常の学級の場合、市町村ごとに採択が異なるため、実際には義務教育段階の主要教科でさえ保障されることにはなりません。つまり、盲学校に在籍していない限り、義務教育にも関わらず、その子が読める教科書がほとんど給与されていないのです。このように全国で数千名の弱視児にとって、教科書を読むという最低限の学習環境すら整えることができないという状況が今日まで続いているのです。

視覚障害児の教科書の実態

盲学校

弱視学級

通常の学級

点字教科書

拡大教科書

拡大教科書

拡大教科書

小学校

国語・算数

理科・社会

発行

文部科学省

民間

発行なし(※1)

発行なし(※1)

費用

無償

無償

無償

無償

音楽・家庭

図工

発行

民間

発行なし

発行なし

発行なし

費用

無償

無償

無償

無償

中学校

国語・数学

英語・理科

社会

発行

文部科学省

民間

発行なし(※1

発行なし(※1

費用

無償

無償

無償

無償

音楽・技家

美術・保健

発行

民間

発行なし

発行なし

発行なし

費用

無償

無償

無償

無償

高校

全教科

発行

民間

発行なし

高校に弱視学級はありません

発行なし

費用

無償

無償

自己負担(※2)

(※1)盲学校の採択教科書と教科書出版社が一致している場合のみ確実に入手できますが、異なる場合はボランティアに製作を依頼するしかありません。
(※2)一般の検定教科書価格の数倍の費用を保護者が負担しています。

 ほとんどの教科において拡大教科書がない今日まで弱視児童・生徒の拡大教科書は、ボランティア製作に依存してきました。しかし、ボランティアによって製作された2004年度用拡大教科書は全国で518名分4338冊にとどまりました。2005年度用の拡大教科書も全国拡大教材製作協議会(全国の約60グループが加盟)によると、ボランティアに依頼されたもののうち、約6〜7割しか製作できず、3〜4割の依頼には応え切れないという状況が続いています。つまり、拡大教科書を希望しても製作してもらえないという需要と供給のアンバランスが問題になっているのです。また拡大教科書そのものの存在やボランティアの存在すら知らない弱視児が全国に潜在しています。しかもボランティアは教科書製作に追われているため、ドリルなどの副教材や課題図書、参考書や問題集などには手がまわらない状況です。
 更に盲学校や弱視学級に限らず、養護学校の中にも視覚に障害を合わせ有する子ども達が少なからず在籍していることが分かってきました。これでは弱視児童・生徒の見えにくさが学習上の壁となってしまい、内容ではなく、教科書が読めないことが学習の障害となってしまいます。そこで要望します!弱視児のための拡大教科書が確実に入手できるようにして下さい。

一般の教科書の文字と拡大教材の文字の比較

 弱視の見え方は十人十色と言われています。よって、拡大教科書も1種類で全ての弱視児のニーズに応えるということにはなりません。そこで・・・

【解決案1】
教科書出版社が拡大教科書を発行する。発行された拡大教科書では不都合な場合のみボランティアに拡大教科書の製作を依頼する。

【解決案2】
教科書出版社が、文部科学省に教科書及びそのデータを提出する。
     ↓
文部科学省教科書課が出版社を募集。拡大教科書の発行を割り当て、教科書及びそのデータを提供する。
     ↓
拡大教科書出版社が盲学校教員等の意見を参考に数種類の拡大教科書データを完成させる。
     ↓
オンデマンド印刷会社がデータを利用し、数種類の拡大教科書を印刷・製本する。


関係法律等

教育基本法 第三条(教育の機会均等) すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであつて、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によつて、教育上差別されない。

子どもの読書活動の推進に関する法律 第二条 子ども(おおむね十八歳以下の者をいう。以下同じ。)の読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものであることにかんがみ、すべての子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境の整備が推進されなければならない。

21世紀の特殊教育の在り方(最終報告)
これからの特殊教育は、障害のある児童生徒等の視点に立って一人一人のニーズを把握し、必要な支援を行うという考えに基づいて対応を図る必要がある。

上記のような法律からわかるように、弱視の子どもたちにも一般の子どもたちや点字使用の子どもたちと同じように学習できる環境や読書できる喜びを与えてあげたいと、願い活動しています。


弱視者問題研究会 代表 並木 正 
〒175-0092 東京都板橋区赤塚3−13−15
TEL 03−5383−3442 E-Mail tdnami@ybb.ne.jp


[PR]| 英会話 | 仕事 |